当保存会では、お茶の水橋の都電レール・敷石の嫁ぎ先として、これまでさまざまな教育機関・博物館とご相談を進めて参りました。
ここは船橋にある日本大学理工学部科学技術史料センター。

「CSTミュージアム」として一般にも開放されているこの施設から、とても嬉しいお知らせをいただきました。
施設の前の広場をご覧ください。

当保存会からのご紹介で千代田区から譲り受けたレール、敷石、そして鉄製の枕木が、なんと出土当時そのままのレイアウトで精緻に復元されています・・・!

古レールの保存例は各所にありますが、敷石・枕木を含む路面軌道そのものが、2メートル以上にわたり正確に復元された例はなかなかなく、極めて珍しいものです。今から90年以上前、1931年に二代目お茶の水橋が竣工した昭和初期、世の中がまだ手作りだった時代の雰囲気を感じることができる、貴重な展示資料です。
敷石の間には、軌間(ゲージ)を保つための「タイバー」と思われる金属板の切断面も顔を出しています。レールに2つ空いている穴はこれを固定するためのものですが、両者の位置もピッタリ。





屋内の展示ケースには通常レールと溝付きレールの2本。

よく見ると溝付きレールの方は通常レールとの接合部分が見えるように切り取られています。


レールとレールを繋ぐ継目板も、上から見ると両者の太さに合わせて曲げられていることが分かります。

当時まだ溝付きレールを国内で生産する技術はなく、この海外製の貴重な遺構は、湿度が適切に管理されたケースの中で、出土した当時のまま大切に保存・展示されています。
CSTミュージアムは一般にも無料開放されており、ご紹介したお茶の水橋の遺構展示も見学することが可能です。
最寄駅は東葉高速鉄道の日大船橋前駅。西口改札を出てエスカレーターで地上に出るとすぐに正門が見えます。建物は正門を入ってすぐ左側。正門で守衛さんに見学の旨を伝え、ミュージアム2階の窓口で受付を行ってください。
開館時間は10時から17時。日曜・祝日は休館です。最新の情報は必ずCSTミュージアムのWebサイトでご確認ください。同サイトで公開されている同ミュージアムの会報でも、お茶の水橋の都電遺構について触れられています。